中間管理職として日々忙しく働いている中、「部下からの視線がなんだか冷たい」「チームに溶け込めていない気がする」と感じたことはありませんか？実は、管理職としてのプレッシャーや上層部との板挟み状態が続くと、無意識のうちに部下とのコミュニケーションがぎくしゃくしてしまうことも多いものです。「部下から嫌われた」と感じた時には、どう立ち振る舞い、どう気持ちを立て直していけばいいのでしょうか。今回は、そんな悩める中間管理職の方々に向けて、今すぐ始めたい対処法や心構えをまとめました。チーム全体を前向きに成長させるためにも、まずはご自身のメンタルケアや具体的な行動を見直してみませんか？
部下に嫌われたと感じるのはなぜ？
中間管理職の立場で「部下から嫌われているのでは？」と不安に思う背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、中間管理職は上層部と現場の板挟みに立たされ、どちらからも相反する要望を受けることが多いポジションです。そのため、部下にとっては「言いにくいことばかり押し付けられる立場の人」と見られがち。特に、業務量やスケジュール管理、時には厳しい評価を下さなければならない場面もあるため、直接の不満が中間管理職へ向かいやすいという現状があります。
また、管理職になった途端に人間関係が一変することも少なくありません。以前は仲の良い同僚だった人が、急に部下という立場になり「距離感がわからない」「上司として威厳を保たなきゃ」と意識するあまり、余裕がなくなるケースもあります。さらには、テレワークやリモート会議が増えたことで、対面でのコミュニケーションが不足しがちになり、部下の本音や感情を把握しにくくなったとも言われています。
本当に嫌われているのか、それとも「嫌われているのでは」という思い込みなのか――。まずはその線引きを冷静に見極めることから始めるとよいでしょう。
まずは自分自身を振り返ってみることが大事？
「部下から嫌われた」と感じた際に、最初にやっておきたいのが自分自身の行動やコミュニケーションの振り返りです。忙しさに追われていると、相手を思いやった言葉がけができていなかったり、チーム全体の雰囲気よりも数値目標や締め切りを優先していたりするかもしれません。
例えば、部下の小さなミスを責め立てるような発言はしていなかったでしょうか。成果を出すことに意識が向きすぎて、チームメンバーの努力を十分に認めていないことはなかったでしょうか。日常の中で積み重なった、何気ない言動や表情が部下の心に引っかかっていた可能性があります。
もし思い当たる節があるのなら、素直に「自分にも原因があるかもしれない」と認めることで、次のステップへ進む道が見えてきます。自己肯定感が下がってしまいそうなときでも、「改善できる部分は必ずある」と前向きに捉えましょう。振り返りを経たうえで、具体的に何を変えれば良いのか考えてみることが大切です。
どうやって部下と向き合うコミュニケーションを改善する？
中間管理職としての立場をしっかりと維持しながらも、部下の本音を汲み取り、関係を改善していくためには、コミュニケーションの見直しが最優先です。ポイントは「相手を承認する姿勢」と「対話の場を増やす取り組み」の2つ。
1. 相手を承認する姿勢を大切にする
忙しいとつい叱責や修正指示ばかりが増えがちですが、それでは部下は「どうせ怒られるだけ」と感じてしまいます。仕事で達成したことや小さな進歩を見つけたら、「○○さんがやってくれたおかげで助かった」「成長が感じられて嬉しいよ」などと具体的に声をかけるようにすると良いでしょう。承認されることで部下が「この上司は自分のやっていることを見てくれている」と安心し、信頼関係が少しずつ深まっていきます。
2. 対話の場を増やす取り組み
業務連絡だけに終始するミーティングやチャットでは、部下の気持ちを正しく把握しにくいのが現実です。特にリモートワークが増えた現在、部下との雑談やプライベートな話をする時間が激減しているという声も多く聞かれます。そこでおすすめなのが、「1on1ミーティング」や「カジュアル面談」の実施。定期的に短い時間で構わないので、部下の悩みや意見を気軽に話せる場を設けてあげると効果的です。オンラインでも、顔を見ながら話をする機会があるだけで、距離がグッと近づきます。
ネガティブな空気を変えるにはどうすればいい？
「部下から嫌われた」と感じると、チーム全体にネガティブな空気が漂いやすくなります。まずはその空気を変えるためにも、自分から率先して笑顔やポジティブな声がけを心がけることが大切です。リーダーが暗い顔ばかりしていると、周囲も自然と気が滅入ってしまいます。逆に、管理職自身がポジティブな姿勢を見せるだけで、部下も安心感を覚え、「一緒に頑張ろう」という気持ちを引き出すきっかけになるのです。
具体的には、小さな成功事例や達成できたことをチーム内で共有してみるのがおすすめ。「今週はこれだけの成果を上げることができた」「締め切りに遅れず納品できたのは○○さんのおかげ」など、前向きな話題を積極的に発信していきましょう。ネガティブな側面よりもポジティブな側面を見せることで、部下にとって「この上司なら自分のことをきちんと見てくれている」「安心して働ける」と感じられるようになります。
トラブルをどうやって対処し、再発を防げばいい？
嫌われていると感じる背景には、小さなトラブルや誤解が積み重なっている場合も多々あります。たとえ大きな問題ではなくても、部下が不満やストレスを抱えたまま放置してしまうと、「この上司は話を聞いてくれない」「どうせ言っても変わらない」という気持ちからさらに関係が悪化することもあるのです。
そこで大切なのは、トラブルが起きた際に迅速かつ誠実に対応すること。部下の言い分に耳を傾け、もし自分に非があると感じた場合は、素直に謝罪の気持ちを伝えましょう。誤解であれば、それを解くための時間をしっかり設けるのがベストです。その際、「どうしてこうなったか」「今後どのように防いでいくか」を一緒に考えられると、単なる問題解決に留まらず、チームとして成長できるチャンスにもなります。
また、トラブル防止のためには、お互いの仕事の進め方や期待していることを明確にしておく必要があります。「どのようなスケジュールで」「どんな成果を求めているか」を具体的に示し、部下の理解度を随時チェックする。こうしたプロセスを踏むことで、思い込みや勘違いを減らせるだけでなく、「上司は自分をきちんと導いてくれる」という安心感も育まれるのです。
周囲に相談するのは恥ずかしいこと？
「部下から嫌われた…」なんて相談しにくい、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。上司であればあるほど、悩みを周囲に打ち明けることが難しくなるものですよね。しかし、一人で悩み続けると、問題が解決しないばかりか、さらに思考がネガティブな方向へ行きがちです。
もし社内に信頼できる先輩や同僚がいるのであれば、思い切って話を聞いてもらうのも有効です。異なる部署の人であれば、客観的な意見をもらえる場合もあるでしょう。さらに、企業によっては産業カウンセラーやEAP（従業員支援プログラム）を導入しているところもあります。外部の専門家に相談できるシステムがあるなら、積極的に利用するのも手段のひとつです。
また、気軽な情報収集としてSNSやコミュニティサイトを活用するのも最近のトレンドです。「こんなときはどう対処したらいい？」といった具体的な質問を投げかけると、同じような悩みを経験したことがある人から有益なアドバイスがもらえるケースも増えています。もちろん、プライバシー保護や情報の取り扱いには気を付けながら、バランスよく情報を得ましょう。
まとめ
「部下から嫌われた」と感じることがあっても、それは必ずしも絶望的な状況ではありません。まずは自分自身の態度や言葉がけを振り返り、部下の気持ちを受けとめる姿勢を整えることで、関係性を大きく改善できる可能性があります。そして、ポジティブな空気を作る工夫や、トラブルを迅速に対処する誠実さを示すことによって、チーム全体として良い循環を育むチャンスを得られるでしょう。
嫌われているかどうかにフォーカスしすぎるのではなく、「どうすれば部下が働きやすいと感じる環境を作れるのか」「どうすれば自分も成長し、チームをサポートできるリーダーになれるのか」という前向きな視点を持つことが大切です。自分一人でどうにもならないときは、遠慮せずに周囲や専門家へ相談し、必要なサポートを得ながら最善の道を模索してみてください。そうすることで、中間管理職の立場にしか得られないやりがいを再認識できるはずです。
よくある質問/Q&A
Q1：部下から嫌われたと感じる原因がさっぱりわかりません。どうすればいいですか？
A1：まずは部下に直接「何か気になることはない？」と声をかけてみるのがおすすめです。相手が素直に話してくれるとは限りませんが、上司のほうからコミュニケーションを取ろうとする姿勢を示すことで、部下も「話していいんだ」と受け止めやすくなります。また、思い当たる原因がなくても、何気ない言動や態度で部下にストレスを与えている可能性があるので、自分自身を客観視する努力も必要です。
Q2：部下のミスを指摘するとき、嫌われたくないので遠回しになってしまいます。どう注意すればいいでしょうか？
A2：指摘の際には、遠回しすぎると相手に意図が伝わらないことも多いです。ポイントは「事実」を伝えた後、「どのように改善すればいいか」を具体的に提案し、その上で「あなたならできる」と前向きなメッセージを添えること。ミスや課題は否定せずに、改善策にフォーカスした伝え方をすれば、責められている印象を和らげ、嫌悪感を持たれにくくなります。
Q3：部下との1on1ミーティングで何を話せばいいか分かりません。良いテーマはありますか？
A3：1on1では、業務進捗や悩み相談だけでなく、本人のキャリアビジョンややりがいを感じるポイントについて話を振ってみると効果的です。たとえば「どんなスキルを伸ばしていきたいか」「今後のキャリアプランはどう考えているか」を尋ねれば、部下のモチベーションや将来像を共有できます。また、上司としての期待値や具体的な目標を提示する機会にもなるので、お互いの認識をすり合わせる場として活用してみてください。
Q4：嫌われていると感じて悩んでいるうちに、自分自身がストレスで押し潰されそうです。どんな対処法がありますか？
A4：仕事に集中するあまり、自分のメンタルケアを後回しにすると、ストレスが溜まってしまいます。まずは休日をしっかりとり、趣味や運動などで気分転換する時間を確保しましょう。もし不安が大きい場合は、社内の相談窓口や産業医、外部のカウンセリングなどを活用するのも一つの手段です。自分の健康あっての仕事ですから、まずは自身の心身のコンディションを整えることを最優先に考えてください。
