「最近、部下たちが徒党を組んでいるように見える」
特定のメンバーだけで固まり、会議でも同じ意見を主張する。自分がいないところで不満を共有しているように感じる。
管理職やリーダーの立場では、こうした状況を見ると「自分に反発しているのではないか」「このまま放置して大丈夫なのか」と不安になることがあります。
ただし、部下がグループを作っていること自体が、必ずしも問題とは限りません。
職場で気の合う人同士が集まるのは自然なことです。
問題になるのは、特定のグループができたことで、
- 他のメンバーを排除する
- 仕事上必要な情報を共有しない
- 集団で上司や同僚を攻撃する
- 業務上の指示に組織的に反発する
- 職場全体の雰囲気や生産性が悪くなる
といった影響が出ている場合です。
この記事では、「徒党を組む」とはどういう意味なのか、部下がグループ化する原因、問題になるケース、管理職が取るべき具体的な対処法について解説します。
「徒党を組む」とは?悪い意味で使われることが多い
「徒党を組む」とは、一般的には複数の人がある目的のために集まり、グループを作ることを指します。
日常会話では、単に仲の良い集団というより、
「複数人で固まり、誰かに対抗する」
という否定的な意味合いで使われることが多い言葉です。
例えば職場では、
- 上司への不満を持つ部下同士が集まる
- 特定の社員を仲間外れにする
- グループ内だけで情報を共有する
- 集団で同じ主張をして圧力をかける
といった状態を「徒党を組んでいる」と表現することがあります。
ただし、仲の良い社員同士で昼食を食べたり、仕事の相談をしたりするだけなら、それを問題視する必要はありません。
重要なのは「グループが存在するか」ではなく、そのグループによって職場や業務にどんな影響が出ているかです。
部下が徒党を組む主な原因

部下が集団で固まる背景には、いくつかの理由が考えられます。
「自分に反抗している」と決めつける前に、なぜグループ化しているのかを確認することが大切です。
上司や会社への共通の不満がある
最も分かりやすいのが、共通の不満を持つ人同士が集まるケースです。
- 仕事量が多い
- 評価に納得できない
- 人員配置に不満がある
- 上司の指示が頻繁に変わる
- 待遇に差があると感じている
など、同じ問題を感じている社員同士が話すうちに結束が強まることがあります。
この場合、グループを解散させようとしても根本的な解決にはなりません。
背景にある職場の問題を確認する必要があります。
安心できる仲間を求めている
職場に不安があると、人は自分と考え方の近い人とつながりやすくなります。
特に、
- 組織変更があった
- 上司が交代した
- 仕事のやり方が大きく変わった
- 評価制度が変わった
といった時期は、社員同士で情報交換する機会が増えることがあります。
この場合は、「徒党」というより、不安を解消するための自然な行動である可能性もあります。
特定の中心人物の影響が強い
グループの中に影響力の強い社員がいるケースもあります。
その人の意見に周囲が同調し、結果として一つの勢力のように見えることがあります。
ただし、中心人物だけを問題視すると、逆に「上司が気に入らない人を排除しようとしている」と受け取られる危険があります。
人ではなく、具体的な行動を見ることが重要です。
管理職とのコミュニケーションが不足している
管理職から十分な説明がなく、会社や部署の方針が見えない場合、社員同士で情報を補おうとします。
その結果、噂や憶測が広がり、グループ内の結束が強まることがあります。
「なぜこの方針になったのか」「今後どうなるのか」をできる範囲で説明することも、不要な対立を防ぐ方法の一つです。
部下が徒党を組んでいても問題ではないケース
部下が特定のメンバーと仲良くしているだけなら、過剰に介入する必要はありません。
例えば、
- 仲の良いメンバーで昼食を取っている
- 仕事の悩みを相談している
- 会議で偶然同じ意見になる
- 休日に交流している
というだけなら、会社側が制限する必要は通常ありません。
管理職が「自分に不満を言っているのではないか」と過敏になると、かえって部下との関係が悪化することもあります。
見るべきなのは、あくまで業務への影響です。
部下が徒党を組んで問題になるケース
特定の社員を排除している
グループ以外の社員に必要な情報を伝えない、話しかけても無視するなど、明確な排他的行動がある場合です。
単なる人間関係ではなく、業務に支障が出ているなら管理職として対応が必要です。
集団で仕事上の指示に反発する
正当な意見や改善提案であれば聞く必要があります。
しかし、特定のグループが「みんな反対しています」と人数を使って圧力をかけ、必要な業務まで拒否するような状態なら問題です。
陰口や噂が職場全体に広がっている
不満を言うこと自体は誰にでもあります。
ただし、事実ではない話を広めたり、特定の社員の評価を下げることを目的とした発言が繰り返されたりすると、職場環境に悪影響が出ます。
情報がグループ内だけで共有されている
業務に必要な情報を一部の社員だけで共有している状態も注意が必要です。
情報格差によって、グループ外の社員が仕事を進めにくくなる場合があります。
部下が徒党を組んでいると感じたら最初にすること

最初から「グループを解散させよう」と考えない方がよいでしょう。
まずは状況を確認します。
事実と自分の感情を分ける
例えば、
「最近あの5人はいつも一緒にいる」
だけでは問題とは言えません。
一方で、
「グループ外の社員に必要な会議情報を3回共有していない」
なら業務上の問題です。
「嫌われている気がする」「自分の悪口を言っていそう」といった感覚ではなく、具体的に何が起きているのかを整理してください。
グループ全体ではなく個別に話を聞く
いきなりグループ全員を集めて問い詰めると、かえって結束が強くなることがあります。
まずは通常の1on1などを利用して、一人ずつ話を聞きます。
例えば、
「最近、チーム内でやりにくいことはない?」
「今の体制について困っていることはある?」
といった聞き方の方が本音を引き出しやすくなります。
共通して出てくる不満を確認する
複数の部下から同じ話が出るなら、その問題は個人的な不満ではなく、職場全体の課題かもしれません。
例えば「指示が毎回変わる」と複数人が感じているなら、管理方法を見直す余地があります。
徒党を組む部下への効果的な対処法
1.グループではなく「行動」を問題にする
「徒党を組むのをやめなさい」と注意しても、何を改善すればいいのか分かりません。
代わりに、
「必要な情報はチーム全員に共有してください」
「反対意見は構いませんが、決定後は業務として進めてください」
など、具体的な行動について伝えます。
2.特定グループだけを敵視しない
管理職が特定のメンバーを「あのグループ」と呼び始めると、管理職側も対立構造を作ってしまいます。
誰がどのグループに属しているかより、一人ひとりの仕事上の行動で判断することが大切です。
3.評価やルールをできるだけ透明にする
「あの人だけ優遇されている」と感じることが、部下同士の不満を強めることがあります。
すべてを公開できるわけではありませんが、
- 何を評価しているのか
- なぜ担当を決めたのか
- どのようなルールで運用しているのか
を説明できる範囲で明確にすると、不必要な疑念を減らせます。
4.全員に同じ基準で対応する
仲の良い部下だけに甘くしたり、反対意見を言う社員だけを厳しく扱ったりすると、グループ間の対立が強まります。
管理職自身の好き嫌いではなく、仕事上の基準で対応することが重要です。
5.問題がある場合は個別に注意する
特定の社員が明確に業務を妨げている場合は、個別に事実を伝えて改善を求めます。
例えば、
「○日の会議情報がAさんに共有されていませんでした。今後は関係者全員に共有してください」
というように、具体的な事実に基づいて伝えます。
「あなたは徒党を組んで職場を乱している」といった人格的な決めつけは避けた方がよいでしょう。
「チームビルディングをすれば解決する」とは限らない

チームビルディングが中心的な対策とされますが、必ずしもイベントや交流を増やせば解決するとは限りません。
例えば、評価への不満や業務量の偏りが原因なのに、懇親会を増やしても問題は残ります。
重要なのは、
人間関係を無理に良くすることより、仕事を公平に進められる仕組みを作ることです。
役割、情報共有、評価、意思決定などのルールを整えた結果として、チーム内の関係が改善する方が自然です。
部下から集団で不満を言われたら、全部受け入れる必要はない
複数の部下から同じ意見を言われると、「自分のマネジメントが全部間違っているのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、人数が多いからといって、その主張が必ず正しいとは限りません。
一方で、「徒党を組んで自分を攻撃している」と最初から否定するのも危険です。
次のように分けて考えます。
- 事実として改善すべきこと
- 会社の方針上変更できないこと
- 単なる好みや不満
- 管理職として説明不足だったこと
受け入れる部分と、受け入れられない部分を整理して説明することが大切です。
部下の徒党に疲れて「管理職を降りたい」と感じたら
部下同士の調整や人間関係ばかりに時間を取られ、管理職そのものが嫌になることもあります。
特に、
- 何をしても部下から不満が出る
- 上司からは結果だけを求められる
- 部下と上司の板挟みになっている
- 人の管理より実務に戻りたい
という状態が続くと、「もうリーダーを降りたい」と思うこともあるでしょう。
管理職を続けるかどうかは、「部下が徒党を組んだから」という一つの出来事だけで決める必要はありません。
ただ、役割そのものが自分に合わず、長期間強いストレスが続いているなら、役職変更や異動なども含めて考える価値はあります。
関連記事:プロジェクトリーダーを降りたいと思ったら?その理由と適切な対処法、上手に降りるためのステップを徹底解説!
どうしても職場環境が改善しない場合
個別面談、情報共有の改善、公平なルール作りなどを試しても状況が変わらないこともあります。
また、自分だけでは変えられない組織構造や会社風土が原因になっている場合もあります。
その場合は、上位の管理職や人事へ相談したり、異動を検討したりする方法があります。
それでも働き続けること自体が苦痛になっているなら、今の会社で働き続けるべきかを考えるタイミングかもしれません。
ただし、部下との人間関係だけを理由に、すぐ退職する必要はありません。
まずは「人の問題なのか」「仕組みの問題なのか」「会社全体の問題なのか」を切り分けることが大切です。
部下が徒党を組んだときの対処手順
迷ったら、次の順番で対応してみてください。
- 単なる仲良しグループなのか確認する
- 業務に具体的な悪影響が出ているか確認する
- 事実と自分の感情を分ける
- 部下一人ひとりから話を聞く
- 共通する職場の問題がないか確認する
- 問題行動があれば具体的に改善を求める
- 評価・情報共有・役割のルールを見直す
- 自分だけで解決できなければ上司や人事へ相談する
「グループを壊すこと」を目的にするより、仕事が公平かつ円滑に進む状態を作ることを優先しましょう。
まとめ
部下が徒党を組んでいるように見えても、それだけで問題と決めつける必要はありません。
まず確認したいのは、
- 単に仲が良いだけなのか
- 共通の職場への不満があるのか
- 他の社員を排除していないか
- 業務に支障が出ていないか
という点です。
業務への悪影響がなければ、過度に介入しない方がよい場合もあります。
一方、情報を隠す、他の社員を排除する、集団で業務を妨げるといった問題があれば、「徒党を組んでいるから」ではなく、具体的な行動について改善を求めましょう。
管理職に必要なのは、グループ同士の争いに参加することではありません。
誰に対しても同じルールを適用し、仕事が円滑に進む環境を作ることが最も重要です。
よくある質問
Q. 「徒党を組む」とは悪い意味ですか?
A. 一般的には、複数人で固まり、誰かに対抗するような否定的な意味で使われることが多い言葉です。ただし、職場で仲の良い人同士が一緒にいるだけなら、必ずしも問題ではありません。
Q. 部下が徒党を組んでいる場合、最初に何をすればいいですか?
A. まず業務に具体的な悪影響が出ているかを確認してください。単にグループで行動しているだけなら過度に介入せず、問題がある場合は個別に話を聞いて原因を確認します。
Q. 徒党を組んでいる部下をまとめて注意してもいいですか?
A. 最初からグループ全体を問題視するより、一人ひとりの具体的な行動を確認する方がよいでしょう。必要な場合も、「徒党を組むな」ではなく、情報共有や業務上の行動について具体的に伝える方が改善につながりやすくなります。
Q. 部下たちが自分の悪口を言っているようです。どうすればいいですか?
A. 推測だけで注意するのは避け、業務への影響があるかを確認しましょう。具体的な問題がある場合は、その行動について対応します。単なる不満や愚痴まで完全に止めようとすると、関係が悪化する可能性があります。
Q. 部下との関係に疲れて管理職を降りたい場合はどうすればいいですか?
A. まずは人間関係だけが原因なのか、管理職の仕事そのものが負担なのかを整理しましょう。役割変更や業務量の調整で改善できる場合もあります。それでも管理職を続けることが難しいなら、上司へ役割変更を相談することも選択肢です。

